【登辞林】(登記関連用語集)


[て]

手形貸付 銀行が貸付をするにあたり、借用証書(金銭消費貸借契約証書等)を作成せずに、借主から、借主を振出人、銀行を受取人とする約束手形を受け入れる方式の貸付。手形貸付の法的性質は、金銭消費貸借である。債権者は金銭消費貸借上の債権と手形債権の2つを保有し、どちらを行使するかは債権者の自由であり、一方が弁済等により消滅すれば他方も消滅する。手形貸付は、短期資金の貸付に利用される。(→証書貸付

手形保証 第三者が、手形上の債務の支払を担保すること(手形法30条)。手形保証は、手形又は補箋に保証する旨を記載して保証人が署名して行い、手形の表面にした単なる署名は、手形の支払人又は振出人のものを除き、手形保証とみなされる(手形法31条1項〜3項)。保証人は、被保証人と同一の責任を負い、債務の方式の瑕疵による場合を除き、担保した債務が無効であっても、手形保証は有効とされる(手形法32条1項、2項)。(→保証)(→小切手保証

手形割引 銀行が取引先から、手形金額から一定の割合の金額を差し引いた金額で、期限未到来の商業手形を買い取ること。手形割引の法的性質は、売買であるとするのが通説・判例である。

滌除(てきじょ) 抵当不動産の所有権、地上権又は永小作権を取得した第三者が、抵当権者に対し、自ら評価した価格を提供し、その承諾を得た金額を払い渡し、又は供託することにより、抵当権を消滅させる制度。抵当権者はその抵当権を実行する時は、予め第三取得者に通知することが要求され(抵当権実行通知)、第三取得者は、この通知を受ける前までに、滌除をなしうるとされていた。抵当権者は、滌除の通知を受けてから1ヶ月以内に「増価競売」の請求をしない時は、第三取得者が通知した金額を承諾したものとみなされた。このように「滌除」は、抵当権者にとって非常に負担の大きいものであったため、平成16年4月1日に施行された民法の改正により「抵当権消滅請求」の制度に改められ、「増価競売」の手続きは廃止され、又、「抵当権実行通知」も不要とされた。「抵当権消滅請求」においては、当該請求をなし得る第三者は、不動産の所有権を取得した者のみとされ、地上権、永小作権を取得した者は除外された。

テキスト形式 コンピュータで使用する文字情報で、文字装飾、レイアウトなどの書式設定のされていないもの。

テキストファイル 文字の装飾、レイアウトなどの書式設定のなされていない文字情報を格納したファイル。拡張子は、[txt]。

鉄筋コンクリート造 建物の構造の一つで、主たる部分(柱、梁等)に鉄筋を組み込み、コンクリートを打設したもの建物(不動産登記規則114条)。「RC造」ともよばれる。(→木造)(→土蔵造)(→石造)(→れんが造)(→コンクリートブロック造)(→鉄骨造)(→鉄骨鉄筋コンクリート造)(→木骨石造)(→木骨れんが造)(→軽量鉄骨造

手付 売買賃貸借請負等の有償契約において、買主、借主、注文者等から、売主、貸主、請負人等に交付される金銭等。売買契約において、買主が売主に手付を交付したときは、相手方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができるとされ、この規定は、他の有償契約にも準用される(民法557条1項、559条)。判例、通説は、民法557条1項は、特段の意思表示が無い限り、手付を解約手付と推定する規定であるとする。「解約手付」の他、契約違反があった際に違約金として没収する趣旨の「違約手付」、単に契約の成立を証する「証約手付」、手付の交付が契約成立の要件である「成約手付」等がある。
手付は、それ自体が金銭等の交付を要する要物契約であり、売買契約においては、売買契約の従たる契約であると解釈されている。売買契約において契約が履行されると、手付は売買代金の一部に算入される。

鉄骨造 建物の構造の一つで、柱、梁に鉄骨を用いたもの(不動産登記規則114条)。「S造」ともよばれる。鉄骨造には、「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」とがある。不動産登記上、「軽量鉄骨造」は登記されるが、「重量鉄骨造」と登記されることは無いため、登記簿上、「鉄骨造」と登記されていると、「重量鉄骨造」のことであると考えがちだが、必ずしもそうとは限らない。(→木造)(→土蔵造)(→石造)(→れんが造)(→コンクリートブロック造)(→鉄筋コンクリート造)(→鉄骨鉄筋コンクリート造)(→木骨石造)(→木骨れんが造

鉄骨鉄筋コンクリート造 建物の構造の一つで、柱、梁等の骨組みに鉄骨を用い、その周囲に鉄筋を組み込み、コンクリートを打設したもの(不動産登記規則114条)。「SRC造」ともよばれる。(→木造)(→土蔵造)(→石造)(→れんが造)(→コンクリートブロック造)(→鉄骨造)(→鉄筋コンクリート造)(→木骨石造)(→木骨れんが造)(→軽量鉄骨造

鉄道財団

鉄道用地 不動産登記規則99条に規定されるの土地の地目のひとつで、鉄道の駅舎、附属施設及び路線の敷地(不動産登記事務取扱手続準則68条)。

デットエクイティスワップ(debt equity swap) 債務(デット)の株式(エクイティ)化。負債を減少し、資本の充実を図る、企業再生の手法のひとつ。

デバッグ(debug) コンピュータのプログラムの不具合を修正すること。(→バグ

デフォルト(default) (1)コンピュータやアプリケーションなどの初期設定。
(2)債務不履行

デフラグ(defragmentation) コンピュータのハードディスク上で、断片化(フラグメンテーション)したデータを、なるべく連続するように配置しなおすこと。コンピュータの処理速度の改善につながる。最適化。

デューディリジェンス(Due Diligence)

デリバティブ(Derivative) 金融派生商品。

展開 圧縮されたコンピュータのデータファイルを読み取ることができるように、元の状態に戻すこと。解凍ともいう。

転換社債 平成13年の改正前の商法に規定されていた社債で、転換権を行使することにより、社債が消滅し、社債発行会社の株式を取得することができたもの。転換社債を保有する者は、社債の償還日まで社債権者として利息を受け取り続けることができるほか、株価が上昇すれば、転換権を行使して株式を取得することもでき、この転換権が甘味剤として機能していたので、転換社債の利率は、通常の社債のものよりも低めに設定されていた。転換社債は、商法改正(平成13年11月28日法律第128号)により廃止され、商法改正後の新株予約権付社債がこれに相当する。(→新株引受権付社債

典型契約 典型的な契約として民法に規定されているもので、贈与売買交換消費貸借使用貸借賃貸借雇用請負委任寄託組合終身定期金和解の13種類のものがある。「典型契約」は、その契約の名称が法律に掲げられていることから、「有名契約」とも呼ばれる。契約自由の原則により、締結することのできる契約はこれらに限られず、民法に定める典型契約以外の契約を「非典型契約」という。

典型担保 民法及び特別法に規定されている抵当権質権先取特権留置権等の制限物権型(担保の目的物の権利を債権者に移転しない)の担保権。(→非典型担保

電子公告 ホームページに掲載する方法による会社の公告。会社法では、「公告方法のうち、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって、法務省令(会社法施行規則)で定めるものをいう。)により不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって法務省令(会社法施行規則)で定めるものをとる方法」と定義されている(会社法2条34号)。公告方法を電子公告と定める場合には、単に電子公告とする旨を定めれば足り、ホームページのアドレスまで定める必要はなく、又、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合の公告方法として、「官報に掲載する方法」「時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法」のいずれかを定めることができる(会社法939条3項)。登記手続きにおいては、電子公告による旨の他、ホームページのアドレスも登記をすることを要し、やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合の公告方法について定めがある時は、当該事項も登記することを要する(会社法911条3項29号)。「法務省電子公告システム」で、電子公告を行っている会社を検索することができる。

電子公告調査 電子公告により公告をしようとする会社が、公告期間中、当該公告の内容である情報が不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置かれているかどうかについて、法務大臣の登録を受けた者(調査機関)に対し、求めなければならないとされる調査(会社法941条)。決算公告(会社法440条1項)は、この調査を要しない(同条)。調査機関による調査結果の通知は、当該公告を要するとされる事項の登記申請において、「公告をしたこと証する書面」として添付することができる。

電子公証制度 私署証書の認証、定款の認証、確定日付の付与を電子文書に対してもすることができる制度。電子公証制度の事務は、法務大臣により指定された指定公証人が取り扱う(公証人法7条ノ2)。

転質 質権者がその権利の存続期間内において、質物についてさらに質権を設定すること(民法348条)。質権者が自己の責任でする転質を「責任転質」といい、不可抗力によって生じた損害についても責任を負う。質権設定者の承諾を得てする転質を「承諾転質」といい、不可抗力によって生じた損害についての責任は負わない。

電子内容証明郵便 郵便事業(株)の提供する、インターネットを利用した内容証明郵便サービス。24時間差し出すことが可能。

転貸借 物を賃借した者が、さらにその物を賃貸すること。転貸をするには、賃貸人の承諾を得ることを要し(民法612条1項)、この規定に違反して転貸がなされた時は、賃貸人は、契約の解除をすることができる(民法612条2項)。賃貸人の転貸の承諾は、賃借人(=転貸人)に対してでなく、転借人になされても良い。適法になされた転貸借においては、転借人は、賃貸人に対して直接義務を負う(民法613条1項)。

転抵当 民法376条1項に規定する抵当権の処分の一態様で、抵当権者が、その抵当権を他の債権の担保に供すること。抵当権者の資金調達手段として利用される。転抵当は、原抵当権者と転抵当権者との設定契約によって設定され、原抵当権設定者の承諾は必要とされない。第三者に対する対抗要件は登記であるが、主たる債務者、保証人、抵当権設定者及びこれらの者の承継人に対しては、主たる債務者に転抵当の設定を通知し、又は主たる債務者がこれを承諾しなければ、対抗することができない(民法377条1項)。
転抵当権者は転抵当権に基づき競売を申し立てることができるが、そのためには、転抵当権の被担保債権、及び、原抵当権の被担保債権の双方が弁済期にあることを要する。競売の結果、まず転抵当権者が優先弁済を受け、残余を生じるときは原抵当権者も弁済を受ける。原抵当権者の競売の申立てについて、判例は、原抵当権の債権額が転抵当権の債権額を上回っている場合に認められるとし、実務ではさらに、転抵当権者の承諾を要するとしている。

天然果実 法律上の果実のうち、物の用法に従い収取する産出物(民法88条1項)。牛から取れる牛乳、畑から取れる野菜等。天然果実は、その収益を生む物(元物)から分離する時に、これを収取する権利を有するものに帰属する(民法89条1項)。(→法定果実

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